広告のCPAが上がり続けて、利益が残らない——D2Cのオーナーからいちばん多く聞く悩みです。かといってSEOは時間がかかる。この記事は、広告を止めても消えない入口をSEO/LLMOでどう作るか、始める順番まで具体的に書きます。結論から言うと、D2CにSEOは効きます。ただし2026年の効き方は、2021年とは中身が変わりました。
結論:SEOは「広告を止めても残る入口」になる。ただし2026年の作り方は違う
広告の弱みは、出稿を止めると流入も止まりやすいことです。SEOで作った商品説明・FAQ・比較記事は、自社の情報資産として残ります。ただし検索上位やAIでの引用は保証されません。Google公式ガイドに沿って検索対象になる基礎と独自情報を整え、Search Consoleの表示・クリック、ECの売上や問い合わせを分けて測ることが重要です。
なぜ広告だけだと苦しいのか——「止めたら消える流入」と「止めても残る流入」
広告の強みは、出した日から売れることです。弱みは、止めた瞬間に流入がゼロに戻ること。CPAが上がり続けるのは、同じ広告枠を奪い合う相手が増えているからで、これは自社の努力では止められません。一方でSEO/LLMOは、立ち上がりが遅い代わりに、一度上位を取った入口は止めても残ります。D2Cが作るべきは、この「止めても残る入口」の方です。

何を、どの順でやるか——D2Cが最初に踏む4ステップ
ここからが本題です。順番を間違えると、いちばん時間のかかるところから手を付けることになります。あなたのブランドで最初に踏むべき順番は、次の4つです。
- 1
狙う言葉を、感覚ではなく実測で棚卸しする
あなたの商品まわりの候補語を一括で調べ、月間検索数と前年比を1年ぶんで見ます。感覚で「これが検索されそう」と決めると、たいてい外します。数字を見れば、いま需要が伸びている語と、しぼんでいる語がはっきり分かれます。
- 2
書く前に、1ページ目を目視で数える
候補語を実際にGoogleで検索し、1ページ目の顔ぶれをスクリーンショットで確認します。大手・専門業者が独占していれば、そこは書かずに撤退。書かない判断を先にすることが、いちばん効くコスト削減です。 当社は記事の品質基準を「新規性 × 労力 × 専門性」のAND条件にして、この撤退判定を関門にしています。
- 3
他社にない事実を、読みやすく書く
Google公式の生成AI向けガイドは、一般論の量産ではなく、独自の経験・専門性を持つ内容を重視し、見出しと段落で読みやすく整理するよう案内しています。他社が書ける一般論ではなく、自社の数字・体験・判断を入れます。
- 4
構造化データとFAQを、見える本文に合わせる
商品情報の構造化データとFAQを明示し、本文と機械向けデータを一致させます。構造化データはAI表示を保証するものではありませんが、内容を正しく伝える下地になります。当社も順位の自己申告ではなく、Search Console APIの表示・クリックとGA4の問い合わせで成果を検証します。
この順番の初動は、店舗向けの記事で確認できました。Search Console APIの公開後16日間では17表示・1クリック・平均掲載順位11.71位です。最初の自然検索流入は作れましたが、安定した上位表示や問い合わせ獲得を証明できる段階ではありません。 だから公開後は、手動順位ではなく表示・クリック・問い合わせを継続して測ります。
ここまでが「始め方」です。SEO/LLMOは公開して終わりではなく、ここからが運用になります。公開後は、Search Consoleで各記事の表示回数と掲載順位を毎月見て、伸びた記事の周辺語を足し、伸びなかった記事は書き方ではなく狙う語(場所選び)から見直す。この「測って・足して・直す」を毎月回すことで、入口が少しずつ増えていきます。1本公開して当たるかどうかではなく、当たった入口を育てて広げていく作業です。
「もう埋まっているのでは?」——後発でも、いま入れば間に合う
「大手がもう書き尽くしているのでは」と思うかもしれません。実測すると逆でした。理由は、お客さんが検索する言葉が、この1年で入れ替わっているからです。いまD2Cで売れている健康・食・インナーケア領域の商品語だけでも、こう分かれていました(月間検索数はラッコキーワードで実測/集計期間2025年7月〜2026年6月)。
| 検索語 | 月間検索数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 電解質 パウダー | 1,900 | +650% |
| 冷凍弁当 | 40,500 | +84% |
| 飲む日焼け止め | 22,200 | +14% |
| オートミール | 135,000 | -34% |
| 腸活 | 49,500 | -29% |
| 完全栄養食 | 14,800 | -24% |
同じ健康・食の欲求でも、それを表す言葉は入れ替わっています。「オートミール」のように一度定着した大きな語は前年割れに転じ、「電解質 パウダー」のように新しく生まれた語が前年比+650%で伸びている。そして新しく伸びている語ほど、書き手の供給が追いついていません。空いているのは、この側です。
同じことが、あなたの商品カテゴリでも起きています。定番の大きな語で正面から殴り合うのではなく、いま伸びている新しい切り口の語に先に入る——これが、後発でも間に合う入り方です。まずは自分のカテゴリで、定番語と新しい語の検索数を並べて見るところから始まります。
当社のEC向けページは、Search Console APIで「D2C SEO」に2表示・期間平均10.5位を記録しました。手動検索で2位を観測した時点もありますが、まだ表示母数は2回です。「席を取れた」と断定せず、検索結果に出始めた初動として継続観測します。

検索数が月10回しかない語を狙う意味はありますか?
あります。たとえば「D2C SEO」という語は月10回ですが、これを打つのはD2Cの事業者本人だけで、消費者は1人も混ざりません。検索数の小ささは、意図の純度の裏返しです。さらに新語のうちに上位を取っておくと、その語が育ったときに席を持った状態から始められます。逆に「D2C マーケティング」は月140回あっても、1ページ目が大広・株式会社D2C・W2 Commerceで埋まっていて、いま入る余地はありません。数字の大小より、誰が打つ語か・空いているかを見てください。
SEOで1位を取れば、Googleの「AIによる概要」にも自動で載りますか?
自動では載りません。Google公式は、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加要件や特別なマークアップはなく、検索にインデックスされてスニペット表示の対象であることが技術上の前提だと案内しています。順位だけを成功条件にせず、役立つ一次情報、内部リンク、関連画像、本文と一致する構造化データを整え、Search ConsoleのAI機能レポートと通常の検索実績を分けて観測します。
まとめ:広告が回っているうちに、「安く見つかる」土台を作る
広告のCPAは、あなたの努力とは関係なく上がり続けます。止められないコストに利益を削られ続ける前に、止めても残る入口を作っておく——それがD2CにとってのSEO/LLMOです。やることは、効く/効かないの議論ではなく、①候補語を実測し、②1ページ目を数え、③空いている語に、④AIが引用する形で書く、の4つ。伸びている新しい語には、後発でもまだ席が残っています。その席が空いているかどうかは、今日あなたのカテゴリで数えれば、すぐ見えます。
参考資料・一次ソース
- Search Console検索パフォーマンスの見方— Google Search Console ヘルプ
- AI機能とウェブサイト— Google 検索セントラル
- Googleが推奨するリンクのベストプラクティス— Google 検索セントラル
AUTHOR
この記事を書いた人

杉山 誇京
株式会社FiTin 代表・テマナシSEO/LLMO運営
デジタルマーケティング大手・オプト出身。大手メーカーから飲食店舗まで、幅広い業種のマーケティング支援に携わってきた。現在はマーケティングと開発の両方を武器に、EC・店舗・住宅など業種を問わずWeb集客サイトを自ら制作・運用している。
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